アジア出張の味方。APECビジネストラベルカード(ABTC)の申請方法

シンガポールで働いていると周辺国への出張も多くなると思います。
そんな時に保有していると便利なのが、APECビジネストラベルカード(ABTC)です!

APECビジネストラベルカード(ABTC)とは?

アジア太平洋経済協力会議に参加している国・地域間を出張するビジネス関係者が、入国をスムーズにするために発行されるカードです。

ただし、参加している全ての国・地域に対して有効ではなく、現在このAPECビジネストラベルカードを利用できる国・地域は、下記の19の国・地域となります。

APECビジネストラベルカード対象エリア
オーストラリア,ブルネイ,チリ,中国,中国香港,インドネシア,日本,韓国,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,パプアニューギニア,ペルー,フィリピン,ロシア,シンガポール,チャイニーズ・タイペイ,タイ、ベトナム

発行の際には各参加国での審査・承認があるため発行までに数か月から半年程度かかりますが、有効期間が5年と長いので、頻繁にAPEC地域へ出張する方にとっては、イミグレーションでの待ち時間が短縮でき、ビザ手続きの手間が省け大変便利なカードです。

ABTCのメリット

  • 主要な国際空港に設置されたABTC専用レーンで優先的に入国審査を受けられ、入国時の待ち時間を短縮できる
  • ABTC制度に参加する国・地域において、旅券及びABTCのみ(ビザなし)で入国審査を受けることができる(30日以内の再入国でビザが課せられるベトナムもABTCがあればビザ不要で再入国できます)

その他、ABTC制度に関する詳細は下記の外務省のウェブサイトに詳しく書かれています。

参考:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/apec/btc.html

ABTC申請方法

現在は、シンガポールに住んでいるので、日本に一時帰国したタイミングで申請しました。海外の大使館での申請は受け付けていないため、シンガポールへ赴任する前に、日本で申請しておけば楽だったと思います。

[Step 1] 申請書類を準備する

上記申請書類の一覧はこちらのWebサイトから確認できます。
上記ページからの情報からでは分からない部分がありましたので、質問させてもらいましたので、その内容を備考に追記してみました。

  書類 備考
APEC商用渡航カード交付申請書  Webサイトからダウンロード
申請者の顔写真(2枚)  
旅券写し  
在職証明書(雇用関係を証する書類) 言語は英語でも日本語でもよい
所属企業等の登記事項証明書 経団連加盟企業の場合は不要
所属企業等の貿易・投資の実績を示す文書(「決算書」、「損益計算書」の関係部分の写し等)

経団連加盟企業の場合は不要

所属企業等の業務内容に関する資料 会社のウェブサイトのURLを申請書に記載すれば不要
交付手数料分の収入印紙 13,100円の収入印紙を指定の台紙に貼り付けて送付
返信用の定形封筒及び郵便切手  

[Step 2] 郵便局で収入印紙と返信用封筒(EMS)を購入して発送

郵便局へ行き13,100円分の収入印紙を購入し、指定の台紙に貼り付けます。
台紙は、Webページにあります。

併せて、郵便局で返信用のEMSの封筒を購入しました。これは、APECビジネストラベルカードが発行された際に、シンガポールまで送付してもらう為です。日本国内へ発送してもらう場合は、普通封筒で良いようです。

私の場合は、EMS封筒(50円)に、シンガポールまでのEMS送料1,400円の切手を同封しました。
下記写真の切手は、EMSの封筒の上に置いているだけで、貼っている訳ではありません。

審査状況の確認

カードの発行には、長い時間がかかりますので、Webサイトから発行状況を確認できるようになっています。

参考:https://www.abtc-aps.org/abtc-core/status/check.html

申請国(Japan)とパスポート番号を入力し、Searchを押します。
(Application Numberは入力しなくても良い)

下記は、申請した後、1ヶ月後の状況です。既に数か国は承認が下りているのが分かります。

全部の対象国の承認を待つと時間がかかるので、承認を取りたい国が揃った時点で発行することもできます。
ただし、その場合は、その時点で申請が終わってしまい、未承認の国が後から追加承認されるようなことはありません。

全ての国・地域の承認が終わると、返送用に送付していたEMSで送られてきました。私の場合は、全ての国の承認が終わるのに4ヶ月程度要しました。

まとめ

APECビジネストラベルカードは、発行まで時間が掛かりますが、1度発行されると5年は利用でき、対象国に入国時に優先レーンが利用できて時間の節約になります。また、国によっては、ビジネス目的の入国にVISAの取得を求められますが、このカードを持っておけば、VISAの取得も不要になります。

注意点

  • 申請から受け取りまで数か月から4ヶ月~半年程度かかります。急いでいる場合、短期間だけ使用したい場合には適しません。
  • パスポートの有効期限が切れるとABTCも失効します。パスポートの残り期間が短い場合は、パスポートを更新することも考えてもいいかもしれません。
  • 海外駐在中の場合、発行されたカードを海外に発送してもらうことはできますが、収入印紙の購入等が必要となり、日本に一時帰国した際に対応するか、代理店等に依頼することになります。
  • 国によって事情が変わる可能性があります。